ー追憶ー
[僕には憧れの人が居る、父だ
父は警備の仕事をしていて一緒に居れる時間は少ない、この船とは別のとある船の警備担当を任されてからは更にその時間は減ってしまった
それでも家に居る時は僕や母と一緒の時間を何より大切にしてくれる
僕はそんな父が大好きで、誇りで、憧れで
憧れなのにその背中を追う事は出来ないのが辛い
何故なら憧れだった父は既にこの世には居ないから
父が警備を担当していた船で家族揃って旅行をしている際に人狼が侵入したと騒ぎになったんだ
騒ぎになっただけで今メリー号で起こってる問題よりずっと小規模だった
それなのに、父は死んでしまった
人狼の宿主だと一方的に疑われていた乗客を助けようと『ちゃんと話を聞いてやれ』って、冷静に見極めようとしての事だったのに
その結果、父も人狼なのだと決め付けられその乗客と一緒に同僚である警備員に殺されたんだ
僕と母の目の前で
しかも父の遺体は僕達の元に帰って来なくて…
後々父の勤めてた警備会社から古臭い通信機が送られて来ただけ、父の愛用していた物だった]