― 逃亡中 ―
[そうして、再び風の精霊をブーツに込める。もちろん猫はお手伝い、靴の先に肉球ふみふみするのである。
行きは大丈夫だった、帰りも同じようにすれば大丈夫、と思いつつ、
くしゃくしゃになった紙を見て。]
ッ……――
[あいつは何を言ってる、ぶん殴ってでも、と逡巡したのが悪かった。]
は、
[風、それも一番苦手な論理によって編まれた魔術。>>349
まさしく行きはよいよい帰りはこわい。
慌てて猫を手ばなし相殺させようとして、間に合わない。
どうにかこうにか、ブーツに込めた風精霊の加護をぶち当て―即ち思いっきり回し蹴り形式で―、それでも相殺しきれない勢いで後方へ転がり込んだ。]