― 公国拠点・中級将校執務室 ―
[ 正式な所属部隊はないものの、情報局員と歩兵数名を合わせて十名前後、分隊程度の配下を与えられることになった。
総司令執務室を辞した後、自身の執務室に戻って、今日渡されたばかりの書類、情報のあれこれに目を通している。 ]
……《狼》と《猫》か。
猫はシュヴァルベ駐在のジャン局長配下、カサンドラ=レイブンウッド……
カサンドラ、教官?
魔器と科器の専門で、士官学校で教官を務め……あの人が、そうか……。
彼女ならば、適任ではあっただろうな。
戦艦壊滅時も情報を送っていたがその報を重用しなかった為に海軍が致命的打撃を受けた。
今回の氷を使って橋を作りあげる魔器による帝国軍作戦こそは、ということか。
魔器、
魔弾……
彼女ならば、ステファンが襲撃された折に使われた銃器の詳細が分かるだろうか。
すでに、奇襲作戦迎撃の折、彼女を公国に帰還させるべく命を受けた間諜が先行していると聞くが。無事に遂行されるのを祈るしかないか……。*