人狼物語−薔薇の下国

68 Es2nd― 緋の世界に滲む月 ―


狩猟師 ギィ

[開かれた小箱から漂う薬品の馨が鼻腔を擽る。
ベリアンが「腕です」と言っても数拍、その意味がわからない程に
人の腕らしさを欠いた――腕のミイラ。

漸くその物体が何なのかに気づけても
彼の紡ぐ言葉の意味を、すぐには理解出来ずにいた。

けれど。
ベリアンが腕のミイラへ頬擦りする様子を
目にした瞬間全てが繋がった。

ベリアンは刑事を愛していて、
その愛故に恋人に手を掛けてしまった。
王子を溺愛しているのではなく、その刑事が死んでも尚
刑事へと、腕へと執着していて――…]

(520) 2013/09/30(Mon) 22:03:21

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