― それは二人の背が並んでいた頃の話 ―
[やはりこの学校、女子はそれなりに目を引く存在であった。
女子寮は今でこそ女性の仕官候補生が増えたから存在するものの……数年前は、やはり下宿に住まう女性が主だった。
だから、カサンドラは2年生を留年してしまったことに頭をかかえながら、制服を着たまま、宿場街を放心状態でうろしていたが…]
ああ、
新入生?
――ようこそ、士官学校へ。
ところで、君は珈琲と茶、どちらが好きなのか?
[それでも、目を未来に奪われた後輩候補は、尊い。
だから、笑顔で、彼を寮までつれてゆき、たまたま同室だったギリギリ同級生に引き合わせたりもしたのだった。
回想・了]