― 教会→宿への道すがら ―[羊飼いの唇から静かな歌声が零れ始めた。>>496とある祝いの席でヴァイオリン弾きが奏でていた音色とそっくりだった。少女にとって初めて聞く歌の筈なのに、何故だか懐かしい気持ちになったのを覚えてる。ぽろぽろと零れ落ちるように。ふわふわと舞い踊るように。ゆらゆらと揺らめくように。羊飼いが口ずさむ歌と踊るように、雪がくるくると舞いながら落ちてゆく。少女の足取りもまた軽やかだった。**]