[ヤコブを見かければ、周囲に聞こえないようそっと声をかける。]
ねぇ、ヤコブ。
さっき…ごめんなさい、ちょっと聞こえてしまったのだけど。
…えぇっと、あのね。
人の顔、わからなくても、私は怖くないよ。
もうずっと、みんなの顔とか見えなくて、それはそれで、不安ではあるのだけど。
でもね、『声』があるから。
みんなの声が、誰なのか、どこにいるのか、
…それから、何を想っているのか。私に伝えてくれるの。
だから、怖くないわ。
私、みんなの声を聞いてるのが好き。
見えなくても全然、怖くないのよ?
[そう、微笑んでみせた。]