

[それは処刑を終えた後か、就寝に付く前かも知れない。
中間部分に、所々、筆圧の余り紙を突き破った痕のある、千切られた白紙のページが、ゲルトの部屋の扉に挟まれていただろう。
そして――後もうひとつ残された千切られた白紙は。
鍵が開いていれば兄の部屋におかれた。さもなくば、様子を見に来る事を見越し、自分自身の部屋におかれるだろう。
実年齢や性別には随分似合わない事は承知の上だが。
何時も肌身離さず抱えていた、自分をそっくりに模した人形。
…みにぺた君が、あるじのいない場所で、ひとり淋しそうにその紙を抱えて込んでいた]