今だっ![トールに食らった脇腹の痛みに耐え、タイガは駆けた。地と触れた緑の亜神の片腕――普通の人の胴ほどの幅のそれを、一息に駆け上ってゆく。視点が、地から空へと移り変わる。蒼に近い位置で、間近に迫った亜神の顔に太刀を構えながら前へ。肩に止まった蝿を払うように、残った片翼が震えて風を起こし、もう片方の指先が、こちらを潰さんと迫る]っと、 …このっ、[ぶおん。と目の前で風圧が唸りを上げた。咄嗟に身を屈める。頭の拳ひとつ分上を指が通り過ぎ、黒髪がざんばらに巻き上げられた]