[殺されるのは論外だ。
『人狼』を冷凍睡眠に叩き込んで、ことが収まればそれでよし。
他、いくつかの可能性を頭の中に並べて検討する。
積極的に『人狼』に加担するようなつもりは毛頭ないが――
恐らく、自分の思考は、この場にいるひとたちとは少し異なっていることだろう。
最終的に船が乗っ取られ、自分が人狼化することに感じるのは、恐怖ではない。
あるいは、自分が既に変わってしまっていることも。
すると決めたことは、どんな姿になっても、変わらないから。
けれども、出来るなら人のままでありたい。
そのままの姿で『歩く』のが、約束に、一番近い。
そして、あの惑星で起こった出来事を思えば。
こうして『人狼』に関わることになるとは、どういう因縁だと……
沈みかける思考を現状把握に切り替え、メイン・サロンの様子を、まずは見渡した。]*