[次に目を覚ましたのは、悍ましい浴槽ではなかった。
白い天井、色を失った空間。
そこが病室だと気づいたのは薬品の匂いで。
身体を清められた末に道で捨てられていた男は、
馬車に轢かれる寸前で病院に運ばれたのだという。
病の有無を調べたその時に、血液を検査された。
因子持ちである事が判明した為に、
男の身柄を王子が引き取るという。]
チャーリー………、
[外に出られた、漸く出られた。
しかし何も持っていないこの身で、どうして彼に会えよう。
もう帰る場所も、野心を叶える術も失ってしまった
悔しさと歯がゆさと、哀しみに暮れて病院の寝台で啜り泣く]