[鎧の上から、胸元に手を触れる。
リンドブルム家の長子に刻まれる、妖精の祝福と称される『印』。
直接他者に見せた事はないが、そう言ったものを背負い、先駆けとなる一族である、という話は騎士団では知られているか]
……本気で使う必要があるか、ね。
[呪印は、刻まれている事で微弱な守護を織りなし、それによってじりじりと
最も強き加護を望むのであれば、正式な手順を踏んで、発動させる必要があるが。
それを行えば、一気に死が近づく、文字通りの諸刃の剣。
こんな危険なものは、後に託すべきではない、と。
そう思うからこそ、独り身を貫き、妹にも呪の紡ぎ方は伝えていない。
そして、呪の終焉を望んだ代に、"鍵"が目覚めたのは偶然とは思い難く。
必要とあれば、それを用いるに躊躇いはない──が]