― シュビト近郊 ―
では、行くか。
[ シメオンの同意を得れば、男は頷いて]
よろしく、ヘイズナイト。
[ 敬称をつけず姓を呼び捨てる口調は、男がそれに慣れた身分である事を彼女に知らせたろう ]
私のことは、そうだな、ご隠居とでも呼んでもらおうか。
[ 同行すると決めた時点で、実を言えば名乗ったところで問題はなくなっている。
サシャが、名を教える事の出来ぬ相手であると判断したなら、命を奪ってしまえばいいのだから。だが ]
「面白がってますね、
[ 呆れた口調で呟いた私兵の声に、男は愉しげな笑みを浮かべるだけで肯定の意に変えた ]