[そして、ファミルが告げた「海にいたい理由」>>496
コーヒーカップから立ち上る儚い湯気を透かして彼女を眺めながら、
領民を思い平和を願う彼女が、私財の商船に武装を施し、悔しさを抱えて自ら海軍と同じ海原に出ることを決意したその流れを追う。]
ならば、やはりひとりでも同胞を増やすことがあなたの悔しさを覆す手だてとなろう。
帝国艦隊には、アンディーヴの旗印を掲げた軍船の航行を妨げぬよう、触れを出しておく。
ウルケルの浦々に声を届けよ。
[一考に値しないと自認しながらも引き下がることのない彼女の視線を、アレクトールは反らすことなく受け止めた。
事情が許せば、第二艦隊か第四艦隊を同行させるつもりだ。
グロル海峡の情勢は、すでにそれだけ緊迫している。
方針が定まり、菓子の器が空になったところでアンディーヴ邸への案内を依頼した。*]