[ダーフィトが立ち上がる勢いに、伸ばした指先が僅かに竦む>>507意図した訳ではないだろうとも思ったが、まるで――冷えた指を厭うかのようだと、頭の片隅で思う。すっと腕を引き、ソファに腰掛けたまま青年を振り仰ぐ。彼は未だ、こんなにも、人間らしい] そうね、…私には、解らないわ。 ごめんなさい。[そうでなければいい、と願う心。そうに違いないだろうと判じる思考。緩く首を振り事実だけを答え、駆け出す背を見送った]