[リンドブルム家の長子には、幼い内にとある『印』が刻まれる。
先祖が精霊と交わした誓願に基づくもの──とされているが、仔細な記録は残されていない。
わかっているのは、その『印』が、何かを対価に、刻まれた者に守護を与える、というもの。
リンドブルムを継ぐ者はその守護の力を持って常に前線に立ち続けてきた。
対価を要する、呪詛と紙一重の如き守護。
対価とされるものは個々で異なるが、大抵は物騒なもの。
その存在故に、他者との関わりは最低限に止めるようにしている……のだが。
時折、それを超えてこちらの領域に入り込んでくる者も、いる。
笑みを見せるのは、そんなごく一部の者に限られていた。
その『限られた者』の筆頭が、クロイス家の兄弟であるのは、知る者は知る話]