人狼物語−薔薇の下国

68 Es2nd― 緋の世界に滲む月 ―


舞踊家 ソマリ

― 幕間 ―

[拉致されて屋敷の中に幽閉されて、飼われて。
飼い猫は絶望し、嘆き、箱の外に出たいと願った。
置いてきてしまった、兄と慕ってくれたチャールズの事を思えば、
裕福な暮らしよりも、またあの雑踏の裏側の世界で
貧しいながらも、また彼とともに過ごしたい、そう願っていた。
少なくとも、強制されて舞わされるよりも油脂ぎった太い指に肢体を余すことなくを這いずられるよりも
人間として暮らせた方がはるかに幸せであると。

だが贅に囲まれて長く暮らしているうちに考え方も変化してゆく
なぜこの世には貧富の差というものが存在するのか。
飽きられることを願った所で、また残飯を漁るのは厭だ。


嗚 ―― 、悲しきかな。
野良猫は一度飼われてしまえばその暮らしに慣れてしまう。

ただ、 ――確実な「歪み」を伴って成長してゆく
その歪みとは、幼いチャールズとの思い出が原因だった。]

(509) 2013/09/30(Mon) 21:46:53

SWBBS V2.00 Beta 8++ あず/asbntby