そうだな。もう遠乗りにもいってやれん。……初めは手や脚などを代償にすることも考えたのだが、やめた。
扉を開けるには意志の力が必要だという。…義手義足。代用が聞くようなものを使っては届かないのではないかと思ってな。だから絶対に成功できると思えるものを賭けた。
[失敗するわけにはいかなかった。その考えの末は命を預ける相手であった]
もし必要となればお前は自分を犠牲にするつもりだっただろう?だから棄てるものと棄てられないものを選んだ。
[優劣をつけたのだ。ゼノとグリヴを比べ、一つを選び、一つを切り捨てる。それでも自分を乗せて走ったのだ。自嘲はしない]
私までお前に自己犠牲を強いてしまっては、私も他の奴と変わらない。…もう何も損なってもらいたくはないからな。
…扉はどうなった?
[役割を演じさせられ犠牲となっていた彼女に、同じことをしたくなかった。だから怒りを向けられようが謝罪はせず、そして確認をしていなかった扉の結果をみて、錠前が叩き壊されているのをみて、ほっと息を吐いた]