[先刻、第四艦隊に伝令は飛ばした。
今頃はあちらでも敵影を捉えていることだろう。
味方の複葉機がやってくれば、専門家に空戦はお任せする心算だが――…自衛の手は打っておいて損は無い。
そういえば…、とロー・シェンは思う。
陛下の“小鴉”たる複葉機乗りは、第四艦隊の一員だったか、どうか。
皇帝が身近においているだけあって、年若いのにエース級の実力を持つ青年だった。
彼も哨戒任務に当たっていたならば…
今のこの敵複葉機のような鮮やかな手並みで、あるいは空から敵艦の情報を掠め取っていたかもしれなかった。]