― 貧民街時代から、その後 ―
[飼い猫は今よりももっと髪を伸ばさせられ、
外出する時以外は「女性」として育てられていた。
長く伸ばした淡い金糸は腰まで、
華やかなチュニックを羽織らされ、まるで人形のようだった。
チャールズが屋敷に忍び込んだのは、
首輪で柱と繋がれた状態のまま庭で過ごしていた時のこと>>414。
華やいだ笑顔を浮かべ、足の抓にマニキュアを塗られていた。
三十も歳の離れた割腹の良い主人自らが膝まづき
女装させられた十代半ばの青年の身繕いをしているのだ。
どう贔屓目に見た所でまともな光景である筈もないが、
抓を擽るブラシに、声をあげて笑う様は
事情を知らぬチャールズには楽しそうにも見えただろうか――]