[ミーティングの発言を聞かれていたことは分からずとも、どこで見られていてもおかしくないくらいには二匹を捕まえているので、悪びれなくにこにこと笑う。
彼女と二匹の付き合いの長さは知らないけれど、ベテランのスタッフだという話は先輩に聞かされたことがあった。>>177
――なお、しっぽの件であるが、似たようなことをその先輩に言われたことがある。
お前もふをもふりたいって煩いけど、手前の背中にくっついてるぞ、と。
そう言われたときは思わず振り向いてくるくる回って、自分の尻尾を追いかける柴犬状態になっていたものである。
なお、彼女の噂を聞いたのもその先輩からで、美人でクールでなんとか話しかけてみたいのだけれど隙がない、とかぼやいていたものである。
けれど、理由は分からずとも先程の微笑みの名残が見えて、スノウとラヴィの名前なんて聞いたものであるし、
そもそも人に対して物怖じするということがない性質だから、にこにこと通常営業だ。]
あ、主任さんって操縦士さんでしたよね、たしか。
いまって“ミゼーア= スロダン・ィ・テ”だっけ?>>#1
こっからアースガルドって、まだ遠いんですかねえ。
こういう航海って、大体予定通りにつくんでしょうか。
[遠足のしおりを読みなさいレベルの質問である。
――途中の旅を楽しみながらも、目的地までの“時間”が気になったのは、
先程のガートルードとの会話で否応なく“残り時間”が意識に上ってきたから。
もしかしたら無意識の底で何かを告げる第六感のようなものが、働いていたかもしれないけれど。
その後彼女といくらか話をして別れて、その背中に手を振った時まで、
彼女の表情のその底にあるものも、>>477
起こりつつある異変も、当然のごとく何一つ、その気配すら察することはなかった。]*