( サシャに判らない事が、判る筈もないでしょうし。)
[ これら全てが運命や偶然だとすれば、スルジエの脚本家は最早神ででもあろうか。]
( 誰も、誰も見ても居ないし。気付いても居ない。その癖、何かのついでにように奪っていく。命を。全てを。)
[ 己の命令で、人が死ぬ。殺すのではなくて、死ぬ。それが偉い人。
セルビアの主として産まれたかの人はきっと、それが嫌だったのだろう。嫌で嫌で仕方ない癖に、どうする気もなかった。できもしなかった。だから、偉い人であり続けた。誰よりも。
歴代のセルビアの主の中で、誰よりもセルビアの主であり続けて、終わるのだろう。命乞いをして偉い人らしく余命を繋ぐのか、偉い人の終わり方として毒を仰いで死ぬのか、裏に逃れて偉い人であり続ける作業を続けるのか、どれも彼の本意ではない、偉い人という存在として続き、終わるのだろう。]