[視線の方を向いたなら、愛し子を支える親犬がそこに。その目には無言の訴えが含まれていた。
餌くれプレッシャーを向けられれば、金貨は「動けないですもんね」と苦笑して、それから親犬の顔の傍に鹿っぽい何かを丸々一頭を引きずり出した。
さきの鳥もどきも、今の鹿もどきも、元々は親犬が獲ってきた獲物である。
金貨は尾びれと鱗を持つそれを鳥として認めたくはなかったし、二足歩行の水かき持ちを鹿として認めたくはない。故にもどきと呼んでいた。
金貨は、獲物をもらう代わりに荷物持ちになっていた。
こと生命体以外の物質の保管という面では空間魔法は最強だったということである。]