ラウツェニング中将と帝国とを結ぶ通信石、ですか。 ――、[薔薇石英が燭台の炎を映し、ゆらゆらと揺れる。>>330指揮官たるトールが何故これを持っていたのか、との確認は行わなかった。フレデリカが報告した、トールとリエヴルとの邂逅に思い至ったからだ。或いはもっと前に、個人的に渡した・渡されたものかもしれないし、彼らが浅からぬ仲であったことは知らないが、幾ら自分でも思うところがありはする。ともあれ、危うい機密を敢えて指揮官達の目に曝す、その行動からディークの意図を汲めば、頷くに留めた。]