[左右の頬に一つずつ、額に一つの唇を寄せ、
微かなリップノイズを木々の波間に落して攫わせ。
吐息を噛みながら顎を引くと、改めて翡翠の双眸を覗き。]
多くの加護を受ける気で此処に来たが、
こうも上手くいくとは嬉しい誤算だ。
―――もう、琉璃は薄々感づいているだろうが、
人生如くの巡礼で、最後に辿り着くのはどこか知っているか?
[初めに札を受け取った場所こそ、スタート地点にしてゴール地点。
沢山の淡色の絵馬が掛けられていた大國社は、白を切り通すには余りにも、直接的な加護を降ろす社。]
―――… 一生、呪ってくれるんだろう?
枕元へ通い立つより、最適な居場所だと思わないか。
[ク、と彼女の腕を引き、また主語の行方を晦まし誘う。
最早離れて歩けるくせに、当然とばかりに隣を闊歩。
木札を各々の社に納め、人生に纏わる加護を多々承り。
辿り着いたのは、良縁加護たる―――夫婦大國社。*]