[妹の声が鼓膜を震わせて、体内を巡り、駆け抜けてゆく。
散臭い坊主に、己の持つ五行は火性だと言われたが、
心音すらも焼くように巡った熱は、陰陽以前の焦熱。]
―――……、
[数度眸を瞬かせてから、クリアな世界に彼女を捉え。
腕を伸ばし、しなやかな肢体を両腕で受け止めた。]
………琉璃の兄として、一人の男として、永久に呪を受けよう。
髪よりも深い場所に一本を引き、心別たぬように。
[紡いだ言葉はややも気恥ずかしいものが混じるが、
神前で誓った言葉を今更覆すことは無い。
一度触れて、僅か離れた唇を、半拍置いて再度重ね。
偶々参拝者が通らぬのを良いことに、強く擁して体温を交わす。
秋から冬に向かって季節が巡っているなど、
疑わしいほどの温もりに口元目元が緩く代わり。]