♪ ──[鋭く指笛を鳴らせば、滲み出るように出現する腰高の栗毛。黄金の鬣も尾もパッツリと切りそろえられた優美な馬であった。馬具も金箔の模様をおした立派なもの。貴族の乗馬に相応しく。同時に、滑走路には飛び越えるべき障害《バー》が等間隔に並んだ。] 本来なら、服もあわせたいところであるが──仕方ない。 こちらはいつでも出発できるよ。 ああ、レディ・ユーリエ、そう、ハンカチを投げて。 地面に触れた瞬間にスタートだ。[方式を問うユーリエに身振り込みで説明すると、自らは騎乗してスタートラインに並ぶ。]