[そして、彼女の語る彼女の境遇>>497に目を見張り――自分の境遇を忘れて、どう言えばいいのかを考える。けれど答えが見つかる前に突きつけられた『現実』は]
――ええ、と。
[前と同じではない。それはつまり。彼女は。彼女の今の存在は。
――吸血鬼。
それに思い当たれば彼女の目をまじまじと見つめてしまう。
けれど瞳の中には彼女が吸血鬼であるというだけではなく、自分への気遣いのようなものがみえて]
…同じ、ように?
[それは、つまり。どういうことだ。頭の一部では理解しながらもその結論を必死で追い払う]
(――俺、も?)