[ ふいにテオドールは身を折って咳き込んだ。
内臓まで出てしまいそうな、尋常でない咳である。
慌てて近づこうとする別働隊に、大事ない、下がれ、とテオドールは手を振った。
やっと咳が収まった。
手の中に吐き出された血を、テオドールは傍の屍鬼の衣服でさりげなく拭った。
……タイミングがいいのか、悪いのか。
ベリアンにだけは、隠しておく必要はないか、とテオドールは視線を上げる。 ]
……まあ、
そういうことだ。
軍をまとめ始めの頃は、碌な医者が居なかったからな。
過去の傷>>0:8が、時間をかけて胸の中を悪くしたのだろう。
一時は治ったと思っていたが、そうではなかったらしい。