― 海峡南方海域:第三隊 巡洋艦 ―
[手のひらが熱く感じるのはおそらく気のせいではない。
熱を逃がすように静かに息を吸っては長く吐いて、騒めく胸の内の波を飲み込んだ。]
次砲準備。発射は少し待て。
向こうが引くようなら必要もない。
[深追いする気はない。だが向かってくるようなら、次は当てるようにと命じる。
>>492威嚇を経てか、はたまたそれより前から近づく心算もなかったのか、睨みあうように互いに引かない位置を保つ。
最中母艇付近を飛ぶ複葉機の事を問われると、放っておけと返す。]
あれ一機で水雷母艇が落とせる筈もない。
それに――