― 東京都ホテル ―
―――…ところで、琉璃。
お前、レポートをまだ出していないだろう。
[唐突に兄が口火を切ったのは夕食中。
京弁当に詰められた秋いかの煮物を頬張りつつ、
隣で同じく箸を進める双子へと語りかけた。
なにやら観光中にメモを取っているところは見たが、
それを清書しているところは目撃していない。>>424
もしかすれば、一度部屋へと戻った時にさらりと完成させてしまったかもしれないが、カマ掛けめいて、抑揚の薄い声で突っ込みを一つ。
因みにちゃっかり者の兄は、お勤め終了、提出完了組である。]