[近づく敵複葉機はそのままミリアム少尉に任せて] 後続の翼が来ないとも限らん。 対空砲、用意。[と、移動式のガトリング砲の装填準備に当たらせる。甲板に慌しく兵が行き交った。戦艦と異なり、水雷艇が主力の当母艦は艦本体の火力に劣る。そこで主砲や副砲の不足を補うため装備されているのが、移動できる手回し式の機関銃だった。第四と違って、複葉機の搭載がほとんど無い第三艦隊は空戦に弱い。その弱点を少しでもカバーするためのガトリング砲は、当艦内では通称――対空砲とも呼ばれていた。]