― 5年前のある日・ベルサリス学館 ―…ん。此の学館の生徒の熱意は高い。けれど一歩間違えばこれ、危険を伴うかもしれない―――ですね。[その“声”で、独り言を呟くのが学館でのキールの癖になっていた。昔から使えた“声”だが、何せ届く相手が居ない。つまりは決して聞き耳を立てられない心の声なのだ!と解釈していた。神殿と違い、身分を隠して勉強している学館では色々と気が抜けない。ゆえに、思考を吐露する此の捌け口は何かと便利だったのだ]