[何人もの隊員が反乱事件で死亡した。粛清は流血を伴い、血の海を見た王子は血だまりの中で目をぎらつかせていた。
因子持ちの血液や肉体を使わない手は無い、とばかりに、仲間の血液を飲まされる。吸血種の伝承に乗っ取り、首に刺し傷を作りそこから流し込まれる。…仲間の血を集めた浴槽に沈められ、挙句は死肉を食べさせられた。
…これはしばらく隔離空間で行われていたので、仲間に知る者はいないだろう。
「―無理、です。…許して下さい…」
死んだ連中の仲間で無いのなら、王子に忠実なら出来るはずだ、と責められ仲間の肉を食べろと出される。
仲間の…親友の血肉など生理的に受付られるハズもなく、けれども拒みきれず。口に運び…何度も戻した。
「私は…吸血種では…ありません。人の血肉は無理ですっ!」
そんな訴えが届くはずもなく。
口に含め無いのなら、直接融合させてみろ、と。皮膚を剥がされ仲間の肉体を埋め込まれ、縫いつけられる。あるものは有効利用しないと、とばかりに。仲間の死臭にまみれた日々が続いた。
王子はその実験によく立ち合った。
…王子の姿を見ると吐き気をもよおすのはその辺りが原因かもしれない]