なんだ、離れて歩きたいのか?
[三日月の形に笑んだ唇は意地悪気。>>467>>468
聡明な妹の突っ込み受け取りながら、別離を選ばず答えを待つ。
されど、やはり強情なのは兄妹良く似た性質か。
まるで売り言葉に買い言葉めいて返される強情には眉が揺れた。
本来ならば、一歩引くべきは長男たる己だろうが、
口から出たのは許容ではなく、一層硬質の断定であった。]
―――…駄目だ。
お兄ちゃんの言うことを聞きなさい、琉璃。
[どうしても毛先が気になるなら、整髪もしようが、
呪詛などと云う出所も正体も判然としない代物に、
妹と兄を繋ぐ紅い糸を、譲る気など更々なかった。]