― 回想・5年前 ―
[>>455 フェリクスの口から「5年前」の単語が出ると、自然と思いだす。入隊して1年程の頃だった。
「因子」は病原菌のようなモノだったとして、この場所はそれを治療するのではなく…むしろ発症させたくて連日自分達を弄る。
王子は因子持ちから吸血種が目覚める事を熱望し、そのためにはどんな手段も厭わなかった。Es内部で王子への反感は増していった。
自分ももちろん王子への反感は抱えていたし、それを隠してもいなかった。
事件は…起きた後で全容を知った。
首謀者は自分と同期で年も近く、親密な仲間であった。
…なぜ自分には反乱への誘いが来なかったのか、今でも分からない。彼なりに守ってくれたのかもしれない。
地獄が始まったのは、仲間が粛清された後だった。
隊員内で王子への反感を持っているにも関わらず、反乱に参加していない事、首謀者と親密だった事から、反乱に加担していたが行動が間に合わなかっただけではないのかと目をつけられた。
同じくクレステッドにも疑惑は向けられたが、反乱時に意識が無かった事、粛清側のソマリの擁護もあり、その後あの洗礼を受けたのは自分一人だったと思う]