旅人 ニコラス

[必要な情報を伝え、知りたい話を全て聞き出したあと、もう一つの目的を果たすべく、懐から白いハンカチを取り出した。]

オットーさんには味見用のパンとか蜂蜜漬けのナッツとか頂いていますから、気合を入れてお土産を用意しました。

さて、このハンカチ。何も仕掛けがないことを、よくご確認下さい。

[そう言いながらハンカチの表裏を良く見せたあと、飲食スペースにあるテーブルへ広げて、何やら怪しげな呪文らしきものを口の中で唱える。

最初は真っ平だったそれの中央がだんだんと盛り上がっていく。
ある程度の高さまで達したとき、”１・２・３、はいっ！”の掛け声と共にハンカチを取った。]

ひまわりの種が入った瓶です。
これでゾーネンブルーメンブロート(上部や表面にひまわりの種をまぶして焼いたパン)を作ってみるのはいかがでしょう？

[こんなときだからこそ、オットーの焼いたパンを食べれば、その美味しさで皆が元気になるはず。
何の疑いもなく信じ切った表情を向けた。*]