―― メリーダウン前 / メイン・サロン ――
[震える声で座って下さい、と言われれば。>>478
その声の響きが。青ざめていた顔色が。伸ばされた手が。
『足』――]
ああ、もしかして……俺、か?
[ぽかん、と。
思わず虚を突かれたような顔を、してしまったかもしれない。
案じてもらうということが、よく分からないせいでもある。
それから……
壊れても、失っても、失くしても――出来るだけそういうことがないに越したことはないのだが、先ほどのような状況ではそうも言っていられないこともあるし――最終的には、ただ一つだけ残ればいいと。
そう思っている彼には、気付くのは、少し難しいことだったので。]