こんなことなら私も、ちゃんと正装してくれば良かったのですが。[ドレスでなくても美しい、なんて気の利いた台詞は生憎浮かばなかった。曲に乗せ、ステップを踏む。軽やかさ、優雅さは望むべくもなかったが、ただ思い描くのは星の海を行く船の姿。時に激しく、時に大胆に変化するそらを征くように彼女の動きの流れを読み、その先を行くよう身体を動かす。長いような短いような一曲が終わったそのとき、前にいたのは─── 1(10x1)]