[こちらが明ける前にドアが開いた。瞬間ノトカーに抱きつかれ、身動きが取れない。彼は泣いていた。涙と共に、彼の心の中の不安がぽろぽろと零れていた。]
……俺は、どこにも行かないよ…?
[ノトカーの頭を優しく撫でながら、彼をなだめる。
"キス"、不意にその単語が聞こえた。ノトカーを見るに、精神状態が不安定であることは明らかであった。――抵抗がない、そういう訳ではなかったが、後輩のために自分ができることはしなければ、という責任感の方が大きかった。]
ん、大丈夫…、だよ。
[その声は、ほんの少し、震えていた。]