[そのとき、ポンと肩に掛かる手。>>452
振り返ると、カークがへらりと笑いつつ、シオメンをチラリと見て、こう言った。
「…トール? どうした?ああ、シメオンの足のことなら、ちゃんと俺が了解してるよ。大丈夫だ。」]
[…歩けないのに?動かないのに?と、言いたいことはあったが、笑っている目の奥の真剣さに、コクリと頭を縦にふる。そして存外、このゆるい感じのする医者を、自分は信用しているのだと、口元が緩んだ。]
すみません、ちょっと取り乱してしまって。
[「お前の方こそ、顔色悪いぞ。…さっきも様子が変だったし…」と続いたカークの言葉には曖昧に笑う。
乗船時に健康診断を受けたが、意外にも、この病気については知られていないらしい。
もしかしたら、シメオンの前だからと気を遣ってくれたのかもしれないが。
(しかし…まぁ、伝えておいた方がいいのかもしれないな。)
肩から伝わる温かい手の温度が、取り乱し強張っていた身体をじわじわと溶かしてゆく。カーク曲がりなりにも医者である訳だし。]
実は…
[病名を告げるため口を開く。*]