[既にそれなりの数は出回ってしまっているだろう。
失策だった、まさかこのような手を打ってくるとは。
魔物が押し寄せ不安になっている人々に安心を売る罠――…確かに有効だ]
ってことはぁ…、魔王の手先は既に街に…、
[行儀悪く舌打ちをし、悔し紛れに赤く塗られた爪を齧る。
目付けの騎士団員を、すぐさまミスターゲルトのところへ赴かせた。
売りつけた人間ごと拘束しておけと指示する。
既に逃げた後だろうが、手を打たないよりマシだ。
街の警備兵に、街内部の警戒を強めるよう言い含め、
魔女自身は、街全体を見渡せる見張り塔へと向かった]