― 騎士団本部・私室 ―
[団長の所から辞した後、向かったのは本部内の自室。
父が死した後家督を引き継ぎ、現在はリンドブルム家の当主という立ち位置にはあるものの、家の事は実質、妹夫婦に任せていた。
こうしてペンホールズに戻ってきても、顔を出すのはごく稀な事。
妹自身は、その事を大層不満に思っている……と、聞いてはいるのだが]
……ここで、顔を出さんと煩かろうが。
出したら出したで、騒ぐだろうな、アイリのヤツは。
[言いながら、目を向けるのは腕の包帯。
騎士としての務めを果たす以上、傷が絶えぬのは妹も理解している……はずだ。
いや、そうでないと困る。非常に]