[ならば――…
代償を払う暇さえ与えなければ、代償を払う必要がないと理解できるほどの力でこじあければ、愛し子を護ることができるのではないかと思い立つ。
幸いにも扉の錠は金属製。
得意分野とは言えないが、叩き込めるだけの神力を叩き込めば、干渉できないこともない。
愛し子の祈りによって少しは回復できたとはいえ、万全からは程遠く。その状態で“普段の”叩き込めるだけの力をつぎ込もうとするならば、神性さえも捧げかねないということに……
愛し子をなにより優先してしまっている金貨は気づきそうにない。
たとえ気づいていたとしても、愛し子が何かを捧げさせるくらいなら自らの力を差し出しただろう。己の神性を捧げるという結果は変わらない**]