ほほぅ……好い。
ドレスでないのは赦せよ。
[手を重ね返せば、シンプルな音質の曲に載せて。
相手を思って合わせる礼儀ぐらいはあったかもしれないが、こと戦と銘打っての勝負なら覇王として手を抜くつもりはなかった。
ステップを思い出せぬまま、優美なまま大きく――ふたりの世界であるこの一室を全て使い切るように。
女王の踊りは、技術よりも彼女そのものを表現し、共にする男がリードできるかどうか試すかのように。
ただ……踊りの最中は左腕の動きを抑え、傷口は隠すようにしていた―― 10(10x1) //]