[実際、毎日家で顔を合わせる兄よりも、この男は冬眠らしく冬眠をしている。
元来冬眠する動物とは、雪の奥や穴倉や。後自宅に身を隠す為に、めったに他人様の視線には触れられないのだ。
もし用事があり、冬眠生物と触れたいならば、直接寝倉を掘り起こすのが最善である]
[とは言え、過干渉は残念ながらお互い望んでいない様だ。
商売人の癖に、実際、薬を扱う仕事場面を見た事はあるかないかだし。
売り物の薬程度で治る病気なら、初めから苦労なんざしていない]
[始めて出会った頃の、好奇心で脳内が構成されていた頃と違い、自分は既に23歳。この成りでも9歳の時分とは違う。
いや、寧ろ、"この成りだから"かも知れないが。
お互い触れられたくは無かろう、「傷持ちの脛」が厳然と存在している分、アルビン・ドルニャークと云う男は、寧ろ今の方がとっつき易い相手とも云えた]