ー 温室 ー
あ……!
[長い廊下を抜けた先にあったのは、温室だった。
ガラス張りの植物園は、見上げれば星空と、まだ高い場所にある月。
夜の帳に鳴く梟に目を細める。]
……確かに、素敵な場所だ。
[慣らされているのか、そろりと腕を伸ばせば梟が飛んで留まる。
重みによろめくのは今の体調では致し方ない。]
……できなくもない。
[少しの間の後、そう応えた。]
……永遠の命。美しさ。そんなものを欲しがるような者ならなおのことヒトとしての文明も、何も手放そうとは思わないんだろうな。
[この状況を喜ぶ者は少なからずいるとヒトのサガを知れど、大した慰めにはならない。
梟の柔らかな羽を撫でた。]