羊飼い カタリナ

　ごめんなさい　ごめんなさい　ごめんなさい
　ちがうの　そんなことしたかったんじゃないの
　おかあさんをきずつけたかったんじゃないの
　ごめんなさい　あんなことをいって
　ごめんなさい　いきててごめんなさい
　ゆるして　ゆるして　ゆるしてください──

［　倒れたまま後退り、涙と鼻水を滴らせながら
　　歯をがちがち鳴らしてうわ言のように呟いていた
　　言葉が彼女に届いていたかはわからない。

　　だって私は知らなかったのだから
　　私自身から漏れる後悔と懺悔と謝罪の言葉も
　　彼女から漏れていた誰かを想う慈しみの言葉も
　　月はなにも教えてくれなかったから──　］