[古い昔の物語、故郷を目指して歩き続けた男の物語、書斎にあったそれを見たとき、『故郷ってなに?』と、まるで知らない者のことを語る空の口調で語った子供の、砂時計の砂が、まだ幾許なりとも、残されているうちに。その命が終わる前に、故郷と呼べるなにかを、心のうちに、見出すことができるように。――… 最初の場所まで、どうか、届くように。そうして、願わくば、おまえ自身がそう願っているように、残されたその時間を、 “望み” 通りに生きることが、出来るようにと。]