[一見のデータの数値だけでは、まだ分からないであろうこと。
これまで育て、検査を続けてきたその男だからこそ、読み取れる兆候。
始まりつつある、死へのカウントダウン。
いまはまだゆるやかな曲線だが、いずれ遠からず、落ちきる寸前の砂時計の砂のように、
さらりと消え果てしまうだろう。
ならば――…
望むなら、おまえの命のあるうちに、
その星を、見にいきなさい。
たとえ地獄の底から見上げた赤黒い空で、あったとしても、
そこに浮かんでいた三つの月を、
その命が始まった、最初の場所を、見てくると良い。
それを見たとて、故郷と呼べるものであるかは――それは、さあ。
辿り着いてみなければ、きっと分からないこと。]